Fate 62
- 2008/06/30(Mon) -
後始末を終えた指を引き抜き、己の熱く猛った楔を宛がうと、
ユリアスはその存在を知らしめるかのようにゆっくりと挿入していく。

「……んっ、はぁっ…ぁ…あぁ……っ」

待ちわびていたものを与えられ、
感喜に震える唇からは、甘ったる吐息が零れている。
広げられ、押し上げられるような感覚と共に、
肉壁に擦れ合いながら侵入してくる絶対的な量感は、
愛しい人を受け入れたという喜びと、
支配されるという性的満足を与え、甘く痺れるように陶酔させるのだ。   


そうして湯殿は、お湯の揺れる水音と二人の荒い吐息で満たされ、
反響する嬌声が艶かしく響き渡っていた。

ゾクゾクと伝い上る快感に背中を震わせる藤也は、
揺さぶられながら、自分も獣のように喘ぎながら無心に腰を揺らしている。  

(ひっ…ぁ、も…も、無理――ッ)

どうやら、何度も何度も最奥を深く突き込まれ、
その度に先端部分が弱みの快楽スポットを抉るように当たるらしい。    

「あ、あっ、あぁっ…駄目ぇ! 嫌ッ、おかしく……なるっ」 
 
強靭な腕で腰を強く引き寄せられて穿たれるのだ。
そうして押し寄せてくる、全身が泡立つような欲望の波に揉まれながら、  
譫言のように根を上げる言葉を漏らせば、切羽詰ったその声音に煽られたユリアスが、

「もっと俺に溺れろ」

溺れてしまえ、と言いながらも細い腰をしっかり抱き締め、
力を漲らせている欲望の挿送の勢いを増した瞬間、藤也は果ていた。
けれど、それまでに何度も極みを迎えている藤也の昂ぶりからは、
もう吐き出す精は少なく、じんわりと滲み出す程度である。

甘い倦怠感にみまわれ、うとうと微睡みかけた時、
浴湯にユラユラと浮かぶ薔薇の花びらが、大きな波紋の波に押し流される。

すっかり失った硬度を、   
まったりと包み込んで蠕動を続ける秘奥で取り戻したユリアスは、  
このままでは湯中りさせてしまう、と肉杭を突き入れたまま、藤也を抱いて立ち上がった。  
十分に蕩けきり、緩みを見せているとはいえ、
重力で深々とそのすべてを呑み込ませられたのだから堪らない。
いきなり立ち上がられたその衝撃に、    
 
「うあぁッ、ああぁ――?!」     
 
藤也は悲鳴と共に、咄嗟にギュッと均整のとれた身体にしがみついていた。   
     
けれど、目が眩むほどのあまりにも強烈な快感に、   
正気を失いつつあった彼に、   
 
「しっかりと掴まっているがよい」 
 
そう囁いたユリアスは、接合させたまま抱き上げた身悶える様子の愛しい存在に、
うっとりと満ち足りたような笑みを浮かべながら浴槽を後にすると、
控えていた侍女の前に姿を現した。

多分なまでに、情交の姿を見られたくないという藤也の主観は、
既に悦楽の世界に意識を飛ばしてしまっている状態では全く働かないでいる。
そんな色事の最中な姿を前にしても、表情を変えないセシアが、
柔らかな極上の綿織物で滴り落ちる雫をてきぱきと拭い取っていることに、
恍惚として身を委ねている藤也は気づくはずもなかった。
 
時折抱き直し、刺激を与えるようにして寝台へと向かうのは、 
一瞬浮いた身体に付加がかかり、再び肉杭に深く突き刺さることにより、
上げざるを得ない悲鳴にも似た嬌艶な声に、
征服感と所有感に満たされるという牡の本能からだろうか。
そして自身の首にしがみつく、
蠱惑に満ちた妖艶な姿にも扇動させられたユリアスは、
綺麗に整え直された上質の敷布に横たえさせると、欲望に身を任せるのだった。

     ◇     ◇     ◇

いつしか、腰を揺するごとに私室に響き渡っていた濡れた音も途絶え、
細かく震えるようにして、最期の精を絞り出したユリアスは、
甘やかせる身体の奥から、自身を漸くゆっくりと引き抜くのだった。

散々貪られてようやく解放され、真っ白な世界に飛び立っている藤也の、
乱れた髪に手を伸ばしたユリアスの傍らに歩み寄る者がいた。

「明朝、全ての手はずが整うとの知らせにございます」

私室の外を警備する女官たちに紛れるようにして控えていたラウルに、
そうか、と短く答えたユリアスは、 

「やっとだ。やっとそなたを……」

安らかな寝息を立てている藤也の柔らかな髪を撫でながら、そう呟いていた。


〜To be continued〜
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